オウンドメディアを運営してサービス・商品の購入や問い合わせ件数を増やすためには、正しく戦略を立てることが必要不可欠です。
この記事では、オウンドメディアを効果的に活用するための戦略設計の手順と、押さえておきたいポイントを解説します。また、実際の成功事例もあわせてご紹介します。
「せっかくオウンドメディアを立ち上げたのに思うように売上に繋がらない」という事態を防ぐためにも、ぜひ参考にしてください。
目次
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オウンドメディア戦略とは?
まずは、「オウンドメディア戦略」という言葉が、どのようなことを意味するのか解説していきます。
オウンドメディアとは?
オウンドメディアとは、自社のウェブサイトやブログなど、各企業が所有しているメディアの総称です。「自社メディア」と呼ばれることもあります。
ブログ形式の情報発信サイトを指す場合が多いものの、広い意味では、SNSやコーポレートサイト(企業の公式サイト)などを含むケースも見られます。
オウンドメディアの特徴は、広告だけでは伝えきれない商品・サービスの魅力や、企業の思いを自由に発信できる点です。これにより、ブランドのイメージ向上や認知度の拡大に期待できます。また、オウンドメディアを通して読者との接点を生み出せるため、企業に対する信頼感や好感度を上げることにも繋がります。
関連記事:オウンドメディアの意味とは?他のメディアとの違いや特性を解説
オウンドメディア戦略が必要不可欠な理由
オウンドメディアは正しく活用することで大きな効果が期待できます。しかし、ただコンテンツを更新しているだけでは、なかなか成果に繋がりません。運営には費用も時間もかかるため、戦略なしで進めてしまうと、労力ばかりが増えて終わってしまうこともあります。
そこで欠かせないのが、オウンドメディア戦略です。
オウンドメディア戦略とは、期待する成果を得るために、明確な方針を立て、計画的に運営していくための指針のことです。
この戦略をしっかりと立てることで、方向性ややるべきことが明確となります。その結果、チーム全員が同じ目標に向かって効率的に動くことができ、成果の達成に繋がりやすくなるのです。
オウンドメディア戦略は難しい?
オウンドメディア戦略について調べていると「難しい」との声も見られます。その理由としては、大きく以下の2つが挙げられます。
成功パターンが確立していない
オウンドメディアには、「これをすれば必ず上手くいく」という成功パターンが存在していません。というのも、商品・サービスの種類や業種、ターゲット層など、企業ごとに前提となる条件が異なるからです。例えば、BtoCと、BtoBとでは、コンテンツの切り口がまったく異なります。
また、企業の成長フェーズによっても効果的な戦略は変わってきます。そのため、同じ業界であっても、他社の成功事例を真似したからといって同様の結果が得られるとは限りません。
このような、すべての企業に共通する正解がわからない点は、オウンドメディア戦略が難しいといわれる理由のひとつです。
自社に合ったオウンドメディア戦略である必要がある
オウンドメディアは、企業が抱える課題の解決や目的の達成のために戦略的に設計する必要があります。課題や目的の一例としては、以下が挙げられます。
- 売上拡大
- ブランディング
- 認知度の向上
- 採用活動の強化 など
こうした課題や目的によって、効果的なオウンドメディア戦略は異なります。
例えば、認知度の向上を目指すなら、検索エンジンからの流入を意識したSEO記事の制作が必要です。一方で、ブランディング強化をするためには、社員や顧客へのインタビュー記事といった企業の価値観が伝わるコンテンツが適している…など、目的によって戦略を変える必要があるのです。
また、必要なコンテンツを制作するには、それに見合ったスキルや知識、視点を持つ人材の確保が重要です。マーケティング・デザイン・ライティングなど、複数の専門性が求められることもあるでしょう。そのため、自社の状況をふまえた人材配置をおこなう必要があります。
上記のように、企業ごとに課題や目的が異なる以上、画一的なテンプレートに沿った戦略では十分な成果は得られません。
そして何よりも「自社にとって必要なコンテンツとは?」を客観的に見極める力が問われます。この点は、オウンドメディア戦略が難しい理由のひとつといえるでしょう。
オウンドメディア戦略を立案する流れ

ここからは、オウンドメディア戦略を立案する流れを順番に解説していきます。
メディアの目的を明確化する
オウンドメディア戦略の最初の一歩は「そのメディアを通じて何を実現したいのか」という目的を明確にすることです。例えば「見込み顧客を獲得したい」「自社のサービスの認知度を高めたい」「採用活動に役立てたい」などが挙げられます。
この目的が曖昧なままだと、発信するコンテンツの内容や追いかける成果指標に一貫性がなくなってしまいます。あらかじめ目標を定め、社内で共有しておくことが成功のカギです。
KPIツリーを設定する
KGI(重要目標達成指標)を実現するためには、段階ごとにどのような指標を達成すればよいのかを整理することが重要です。そこで役立つのが「KPIツリー」です。
KPIツリーとは、KGIを頂点として、その達成に必要な中間指標(KPI)をツリー状に可視化したものです。
例えば、KGIが「年間売上10億円を達成する」だとすると、オウンドメディアのKPIには、以下のようなものが考えられます。
- SEO記事を年間で50本以上公開する
- サイトのPV数を月間20万以上にする
- 問い合わせボタンのクリック率(CTA)を3%以上にする
- 資料のダウンロード数を前年比20%向上させる など
このようにKPIを定めることで、オウンドメディア運営における各段階での成果や課題を可視化できます。どの部分に改善の余地があるのかが把握できるため、効率的に戦略を見直したり、施策を最適化したりすることがスムーズになります。
ターゲット層・ペルソナを設定する
オウンドメディア戦略では「誰に向けて情報を発信するのか」を明確にすることが重要です。そのため、まずはターゲット層やペルソナを設定します。
まずは、性別や年齢、職業などの基本的な属性から大まかなターゲット層を考えましょう。例えば「30代の共働きの夫婦」や「中小企業の人事担当者」などが当てはまります。
次に、ターゲット層のなかから、より詳細な人物像であるペルソナを考えます。年齢・性別や年収、使用しているSNS、通勤手段や休日の過ごし方などを具体的に設定することで「誰に向けたコンテンツなのか」が明確となり、内容のブレを防ぐことができます。
競合メディアのリサーチ
競合メディアのリサーチは、オウンドメディア戦略において欠かせないステップです。他社がどのようなテーマで情報を発信し、どのような手法で集客をしているのかを把握することは、自社メディアとの差別化を図る上でも非常に重要です。
効果的なリサーチをおこなうために、以下のポイントを確認しましょう。
| 記事のテーマ(キーワード) | どのようなテーマの情報を発信しているか |
|---|---|
| 記事の内容 | ボリューム(文字数)や画像の使い方、見出しの構成・内部リンクの設計など |
| オリジナリティの有無 | 取材した情報や撮影写真、口コミ・体験談などの独自性が盛り込まれているか |
| 集客手法 | 検索エンジンからの流入だけでなく、SNSやメルマガ、広告なども活用しているか |
コンセプトを設定する
オウンドメディア戦略では、ペルソナに刺さり、かつ競合メディアと差別化できるコンセプトの設定が重要です。具体的には、誰に何をどのように伝えるのかを明確にして、メディアの方向性を定めることで、コンテンツのブレを防ぎます。
例えば、ターゲットが「これから資産運用を学びたい人」の場合で見てみましょう。
| 伝える情報 | 資産運用の基礎をやさしい言葉で解説する 初心者がつまずきやすいポイントを紹介 具体的な成功例・失敗例を交える |
|---|---|
| トーン・マナー | 専門用語を避けた親しみやすい文章にする 図解やイラストを使い視認性を意識する |
| 競合サイトとの差別化 | お金のことを学びはじめた人向けに特化する 専門家目線ではなくユーザーと同じ立場から情報を整理して伝える |
上記を踏まえて「資産運用のやさしいはじめかたガイド」や「ゼロから学べる資産運用の教室」など、コンセプト文を考えることができます。
このようにコンセプトを設定しておくことで、コンテンツの企画や記事執筆時のトーン、デザインなど、あらゆる工程での判断の指針となってくれるでしょう。
カスタマージャーニーを考える
オウンドメディアを通してユーザーに行動してもらうためには、ユーザーがどのように情報を得て、サービスや商品の購入をするのかを理解する必要があります。
これを図式化したものをカスタマージャーニーと呼びます。大きく以下の4段階に分かれます。
| ①認知 | 商品のことを知る段階 |
|---|---|
| ②興味・関心 | 商品に興味を持ち、調べる段階 |
| ③比較・検討 | 複数商品を比較して自分に合ったものを選ぶ段階 |
| ④行動 | 購入・資料請求など行動を起こす段階 |
各フェーズごとにユーザーの心理やニーズは異なります。そのため、各段階で「どのようなコンテンツが効果的か」を明確にして、最適な施策を実施することが大切です。
例えば、③比較・検討のフェーズでは、ユーザーは検索エンジンで「資産運用 おすすめ 初心者」や「資産運用 リスク 比較」などのキーワードを使って調べることがあります。
このような検索意図に対しては、各選択肢を比較する表や図解を使った解説記事が有効です。ユーザーの不安や疑問を解消して納得感を与えることで、最終的な行動に繋げることができます。
このように、カスタマージャーニーをふまえたコンテンツ設計は、オウンドメディア戦略の成功に欠かせない要素といえるでしょう。
人員計画
オウンドメディアを安定的に運用するためには、必要な人材と役割を明確化して、適切に担当を割り当てることが大切です。
例えば、以下の役割が必要になるでしょう。
| メディアディレクター | 全体の進行管理・スケジュール調整 |
|---|---|
| 編集長・編集者 | コンテンツの品質管理・企画立案・方針設計 |
| ライター | 記事の執筆 |
| webデザイナー | 記事内の画像作成・ビジュアル設計 |
すべての人材を社内でまかなうことが難しい場合は、外部への発注も検討しましょう。
ただし、全体を統括するディレクターや、メディア全体の方針を考える編集長などの中核的な役割は、可能な限り経験のある社内のメンバーに任せるのが理想です。
コンテンツ制作をスタートする
人員体制が整ったら、ペルソナやカスタマージャーニーに沿って、コンテンツ制作に移ります。例えば、検索エンジンからの流入を増やすことが目的であればSEO対策は欠かせません。
まずは、ユーザーがどのようなキーワードで検索しているのかを調査し、検索ニーズを把握します。その結果をもとに、どのようなテーマの記事を制作するのかを定めるキーワード設計をおこないます。
このキーワード設計は、ライターへ伝える記事構成の土台にもなるため、コンテンツの質を左右する重要な工程です。なお、SEO対策に関しては、以下の記事でも解説しているため、ぜひ参考にしてください。
関連記事:基本のSEO対策8選!初めにすべき具体策や成功事例、やってはいけないことを紹介
オウンドメディアにおける戦略の実例
私たちマーケティングユニットが関わったオウンドメディア戦略の事例をご紹介します。
反響ゼロから新規案件の獲得に繋がった事例

不織布専門の製造・加工メーカーであるマルヰ産業様の事例です。ニッチな分野ということもあり、社名以外でのキーワードからのサイトへの流入が少ない状態でした。
そのため、オウンドメディア施策の開始時は、まずターゲットを明確にし、集客のための戦略を立てました。そして、SEOを意識した記事を制作して公開したところ、わずか10本で年間3万PVを超えるメディアへと成長しました。
その結果、反響ゼロの状態から、毎月2~5件ほどの反響を得ることにも成功。戦略的にキーワード設計やサイトの動線、ターゲット目線の記事の制作などをおこなうことで、ニッチな分野であっても、数字として結果があらわれるという事例となりました。
新規記事を増やし年間213万PVを超えた事例

名古屋市を中心に20店舗を展開する接骨院であるハートメディカル様の事例です。
もともとスタッフによるブログ更新をおこなっていたものの「膝 窩筋」や「腓骨筋 腱炎」など、専門的な用語からの流入が中心となっていました。
しかし、より多くの人に知ってもらうためには、一般的によく検索されている「膝の痛み」や「腰痛」などのキーワードでの上位表示が必要であると判断しました。
そこで、検索数の多いキーワードを意識したリライトや新規記事の追加を実施。その結果、検索流入数が増え、年間213万PVを超えるメディアへと成長させることに成功しました。
オウンドメディアを戦略的に設計するポイント

この項目では、オウンドメディアを戦略的に設計するためのポイントをご紹介します。
中長期的な戦略を立てておく
オウンドメディアの運営をスタートしたからといってすぐに成果がでることはありません。一定の期間がかかるケースが一般的です。そのため、中長期的な目線で戦略を立てて、段階的に成果を目指すことがポイントとなります。
例えば、情報発信サイトを運営する際の短期的な目標として「記事の本数を増やすこと」だけを重視すると、記事の質が下がり、結果として期待する成果を得られなくなることが考えられます。
そこで必要なのは中期ビジョンの設定です。「特定のキーワードで検索上位5位以内」「半年後までに月間PVを倍にする」など、具体的な目標と達成期限を定めることで、KGI(重要目標達成指標)の実現に向けた筋道が明確になります。
集中的にリソースを割く
とくに、オウンドメディアの立ち上げ期から初期フェーズにかけては、人的、時間的リソースを集中的に割くことが重要なポイントです。
多くの場合、オウンドメディア運営に割けるリソースは限られています。その中で、メディア運営とSNS更新、メルマガ運用など複数の施策を同時に進めると、リソースが分散して、すべてが中途半端に終わってしまう可能性があります。効率的に成果を得るためには、限られたリソースの中で何を優先すべきかを明確にして、集中的に取り組むようにしましょう。
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